敬語の3種類をまず整理
敬語変換表を使う前に、「どの敬語を選ぶか」の判断基準だけ押さえておきます。迷ったら「相手を主語にするか、自分を主語にするか」で9割決まります。
| 種類 | 動作主 | 使う場面 | 例(「言う」の変換) |
|---|---|---|---|
| 尊敬語 | 相手 | 相手の言動を立てる | おっしゃる |
| 謙譲語 | 自分 | 自分を低めて相手を立てる | 申し上げる / 申す |
| 丁寧語 | 誰でも可 | 文末を丁寧にする万能型 | 言います |
3種類の敬語の性質を一目で把握。ビジネスシーンではこの3つを場面で使い分けます。
監修者ワンポイント / 佐野真由美
講師として一番多い質問が「尊敬語と謙譲語、どっちを使うんですか?」です。答えはシンプルで、「動作主が相手なら尊敬語、自分なら謙譲語」。これだけ覚えておけば、初対面の取引先でも失礼は起きません。
基本動詞 50種の変換表
ビジネスで頻出する50動詞の変換一覧。メール・電話・来客対応で迷ったらここで確認してください。
| 原型 | 尊敬語(相手) | 謙譲語(自分) | 丁寧語 |
|---|---|---|---|
| 言う | おっしゃる | 申し上げる / 申す | 言います |
| 見る | ご覧になる | 拝見する | 見ます |
| 聞く | お聞きになる | 伺う / 拝聴する | 聞きます |
| 話す | お話しになる | お話しする | 話します |
| する | なさる | いたす / させていただく | します |
| いる | いらっしゃる | おる | います |
| 行く | いらっしゃる / おいでになる | 伺う / 参る | 行きます |
| 来る | いらっしゃる / お越しになる | 参る / 伺う | 来ます |
| 食べる | 召し上がる | いただく / 頂戴する | 食べます |
| 飲む | 召し上がる | いただく / 頂戴する | 飲みます |
| 知る | ご存じ | 存じ上げる / 存じる | 知っています |
| 会う | お会いになる | お目にかかる | 会います |
| 与える | くださる | 差し上げる | あげます |
| もらう | お受け取りになる | いただく / 頂戴する | もらいます |
| 思う | お思いになる / お考えになる | 存じる / 拝察する | 思います |
| 考える | お考えになる | 考えます / 検討いたします | 考えます |
| 読む | お読みになる | 拝読する | 読みます |
| 書く | お書きになる | お書きする | 書きます |
| 買う | お買いになる / お求めになる | 求める / 購入いたす | 買います |
| 教える | お教えになる / ご教示くださる | お伝えする / ご案内する | 教えます |
| 帰る | お帰りになる | 失礼する / 戻る | 帰ります |
| 座る | おかけになる | 座らせていただく | 座ります |
| 待つ | お待ちになる | お待ちする | 待ちます |
| 渡す | お渡しになる | お渡しする | 渡します |
| 使う | お使いになる | 使わせていただく | 使います |
| 受け取る | お受け取りになる | お預かりする / 頂戴する | 受け取ります |
| 借りる | お借りになる | 拝借する | 借ります |
| 調べる | お調べになる | お調べする / 確認いたす | 調べます |
| 伝える | お伝えになる | 申し伝える | 伝えます |
| 送る | お送りになる | お送りする | 送ります |
| 届ける | お届けになる | お届けする | 届けます |
| 決める | お決めになる | 決めさせていただく | 決めます |
| 頼む | お頼みになる | お願いする / お頼み申し上げる | 頼みます |
| 答える | お答えになる | お答えする / お答え申し上げる | 答えます |
| 確認する | ご確認になる | 確認いたす / 拝見する | 確認します |
| 検討する | ご検討になる | 検討いたす | 検討します |
| 利用する | ご利用になる | 利用いたす / 利用させていただく | 利用します |
| 了解する | ── (目上に尊敬語で使わない) | 承知いたす / かしこまる | わかりました |
| 気に入る | お気に召す | ── (自分には使わない) | 気に入ります |
| 亡くなる | お亡くなりになる / ご逝去される | ── (自分には使わない) | 亡くなります |
| 寝る | お休みになる | 休ませていただく | 寝ます |
| 起きる | お目覚めになる / お起きになる | 起きさせていただく | 起きます |
| 休む | お休みになる | 休ませていただく | 休みます |
| 出席する | ご出席になる | 出席いたす / 伺う | 出席します |
| 欠席する | ご欠席になる | 欠席いたす | 欠席します |
| 同席する | ご同席になる | 同席させていただく | 同席します |
| 参加する | ご参加になる | 参加いたす / 参加させていただく | 参加します |
| 返事する | お返事なさる | お返事する / ご返答申し上げる | 返事します |
| 連絡する | ご連絡になる | ご連絡する / ご連絡差し上げる | 連絡します |
| 訪問する | お越しになる / ご訪問になる | お伺いする / 参上する | 訪問します |
スマホでも横スクロールで全列確認できます。社外メールでは「尊敬語」、自分の動作説明では「謙譲語」を使うのが基本。
迷いやすい敬語の「正しい選択」
表を覚えていても、実際に言葉に出す瞬間に迷いやすい7パターン。正しい選択肢で判断できるようにしておきましょう。
「了解しました」を上司・お客様に使う
「承知しました」または「かしこまりました」。「了解」はやや軽い印象で、目上に使うと違和感を持たれる。
「お名前を頂戴できますか」
「お名前を伺ってもよろしいでしょうか」。名前は頂くものではなく伺うもの。
「ご苦労様です」を目上に
「お疲れ様です」。「ご苦労様」は目上から目下への労い表現。
「〜になります」を多用
「〜です」「〜でございます」。「こちらが資料になります」は変化を意味せず誤用。
「とんでもございません」
「とんでもないことでございます」。「とんでもない」は1単語なので「ございません」は文法的に誤り。
「○○様でございますね」
「○○様でいらっしゃいますね」。人に「ございます(=ある)」を使うと謙譲語扱いで失礼。
「〜させていただきます」の連発
相手の許可・恩恵がある場面のみ使用。「説明させていただきます」は相手の許可不要なので「ご説明いたします」が正解。
二重敬語のよくあるNG
敬語を重ねるほど丁寧になる、は誤解。2つ以上の敬語要素を重ねると逆に失礼になります。
| × NG例 | ◎ 正しい形 | 何が重複? |
|---|---|---|
| ご覧になられる | ご覧になる | 「ご覧になる」+「〜れる」の二重 |
| おっしゃられる | おっしゃる | 「おっしゃる」+「〜れる」の二重 |
| お伺いさせていただく | 伺います / お伺いします | 「お」+「させていただく」の重複 |
| お召し上がりになる | 召し上がる | 「お〜になる」+「召し上がる」の重複 |
| お読みになられる | お読みになる | 「お〜になる」+「〜れる」の二重 |
| 拝見させていただく | 拝見する / 拝見いたす | 「拝〜」+「させていただく」の重複 |
「お/ご」「〜れる」「〜られる」「〜になる」の要素が2つ以上重なっていないかチェック。
二重敬語を見抜くコツ
「お/ご」+「〜れる/られる」+「〜になる」の3要素のうち、同じ動詞に2つ以上が入っていたら確実に二重敬語。声に出して読み上げると、違和感で気付きやすくなります。
シーン別・ここで差がつく1フレーズ
表の変換を覚えたら、次はシーン特有のフレーズで仕上げます。
「お世話になっております」「ご査収のほどよろしくお願いいたします」「ご教示ください」を定型文として体に入れる。
「少々お待ちくださいませ」「恐れ入りますが」「あいにく席を外しております」が3大定番。
「本日はお越しいただきありがとうございます」「お足元の悪い中」「どうぞおかけください」。
「僭越ではございますが」「恐縮ですが」「〜という認識で相違ございませんでしょうか」で発言を整える。
「申し訳ございません」「重ねてお詫び申し上げます」「今後とも変わらぬご愛顧を賜りますよう」。
