「取り残される」感覚は、人間に組み込まれた機能
同期が昇進した、年収が上がった、結婚した、家を買った。見るたびに胸が痛む。これは「社会的比較理論」で説明できる、人間の根本的な認知機能です。
なぜ比較してしまうのか
心理学者フェスティンガーの研究(1954年)以来、人間は「自分の位置」を知るために他者と比較する生き物であることが明らかになっています。特にSNS時代は、他人の「輝く瞬間」ばかり目にするため、相対的に自分が劣って見える「非対称な比較」が起きやすい。
比較で苦しい時の3つの処方箋
感情を否定するのではなく、仕組みを理解して上手く付き合う。
- 1
処方箋1: SNS断ち(一時的に)
LinkedIn・X・Instagram で同期の投稿を見るのを1週間やめる。「情報を断つ」だけで、意外に心が軽くなる。戻ってきた時、どうしても必要な情報だけ選別する習慣がつく。
- 2
処方箋2: 「他人の成功」と「自分の道」を分離する
同期の昇進は、その人の選択と運の結果。自分の人生のゴールが「昇進」ではないなら、彼らの成功は自分の失敗を意味しない。何を目指すかは自分で定義する。
- 3
処方箋3: 自分の「絶対的進化」で測る
1年前の自分と今の自分を比較する。スキル・経験・人間関係・収入のどこか1つでも進化していれば、前に進めている。他者比較は「相対」、自己比較は「絶対」。後者で測ると、大体の人は前に進んでいる。
「取り残される感覚」を行動のエネルギーに変える
焦燥感を否定せず、建設的な行動に転換する方法。
「なぜ同期のAさんは昇進したのか」を分析する。能力?運?戦略?その答えから、自分にも活かせる要素を抽出する。比較を情報収集に変える。
今の会社の評価軸で負けているなら、別の評価軸(別の会社・業界)で勝つ選択肢を持つ。転職市場は今いる会社と違う評価基準を持つ。自分の強みが生きる場所を探す。
人生のピークは人それぞれ違うタイミングで来る。20代で昇進する人、40代で花開く人、50代で独立する人。今同期に遅れていても、人生全体では何も決まっていない。
同期の転職で年収が上がったなら、自分の市場価値も調べる。転職エージェントの無料査定で「実はあなたも上がります」というケースは多い。焦りを行動に変える。
「取り残されている」は錯覚かもしれない
実はあなたも前に進んでいる、ということに気づく視点。
- ✓同期の「見える成功」だけで判断していないか?(見えない苦労もある)
- ✓自分の「持っているもの」を数えたか?(健康・家族・時間・経験等)
- ✓5年後の幸せの基準は、今の昇進と一致しているか?
- ✓「遅れている」のではなく「違う道を歩いている」かも?
監修者ワンポイント / 佐野真由美
20年以上多くのビジネスパーソンを見てきましたが、「人生で勝った」人は、必ずしも同期で最速昇進した人ではありません。自分のペースで、自分に合う場所で花開いた人です。焦らず、しかし情報収集は怠らず、が一番バランスの良い生き方です。