月80時間 = 過労死ラインという公的基準
厚生労働省は「発症前1ヶ月間に100時間、または発症前2〜6ヶ月間に月平均80時間を超える時間外労働」を過労死認定の基準としています。つまり月80時間の残業が続いている状態は、医学的・法的に「命が危険な領域」。
80時間は日次で何時間?
月20営業日で計算すると、1日あたり4時間の残業。9時始業だと定時18時+残業4時間で22時退社。電車・食事で帰宅は23-24時。翌朝7時起きで、睡眠は6-7時間の限界生活。この状態が数ヶ月続くと、心身の疲労が取り返しがつかなくなります。 ※出典: 厚生労働省(mhlw.go.jp)過労死認定基準
監修者ワンポイント / 佐野真由美
「みんなやっているから自分もやる」のは危険な思考です。全員が80時間残業している職場は、全員が過労死ラインにいるという意味。「普通」と感じていても、客観的には異常な状態です。
80時間残業が続く時の身体変化
本人は気づきにくいが、体は確実に警告を出している。
- ✓慢性的な疲労感(週末寝ても回復しない)
- ✓不眠・寝付きの悪化(脳が休息モードに入れない)
- ✓集中力の低下(同じミスを繰り返す)
- ✓免疫力の低下(風邪をひきやすい・治りにくい)
- ✓血圧・血糖値の上昇(半年で健康診断の数値悪化)
- ✓情緒不安定・イライラ(周囲への影響)
- ✓食事の乱れ(不規則・外食・ファストフード中心)
今できる3つの離脱行動
80時間残業が2ヶ月以上続くなら、以下を即実行。
- 1
行動1: 残業時間を記録し、客観視する
過去3ヶ月の残業時間を正確にカウント。スマホの出退勤記録でもOK。「80時間超だった」と数字で自覚すると、危機感が変わる。
- 2
行動2: 上司に業務量調整を正式に依頼
「現状月○時間残業が続いており、長期的に持続が困難です。業務量の調整をお願いしたい」と正式に書面で。口頭だけでは記録に残らない。
- 3
行動3: 改善が見られなければ離脱を計画
1-2ヶ月で改善がなければ、休職・転職を視野に。転職活動は現職を続けながらでも可能。エージェントに状況を正直に伝える。
法的に知っておくべき権利
長時間労働から自分を守る法的知識。
| 法令 | 内容 | 違反時の対応 |
|---|---|---|
| 労働基準法36条 | 時間外労働は原則月45時間まで | 労基署への申告 |
| 労働基準法36条の特別条項 | 月100時間未満、年720時間以下 | 違反は罰則対象 |
| 労働安全衛生法66条8 | 月80時間超は医師面接義務 | 会社側に義務 |
| 労働契約法5条 | 会社は労働者の安全配慮義務 | 損害賠償請求可 |
※ 2019年4月の働き方改革関連法改正以降の基準
労基署への相談
労働時間の管理が適切でない、残業代が支払われない等、労基法違反の疑いがあれば、労働基準監督署へ相談可能。相談は無料・匿名可。タイムカードのコピー等の証拠があると調査が早い。
転職という選択肢
労働時間が短い会社は実在する。
- ✓IT・外資系・ベンチャーの一部で月残業20時間以下は普通
- ✓リモートワーク主体の企業は通勤なしで実質的な総労働時間が短い
- ✓転職で「残業時間」を最優先条件にするのは正当な判断
- ✓エージェント経由なら「残業少なめ」希望の企業を紹介可能
監修者ワンポイント / 佐野真由美
「この業界はどこも残業が多い」と思っている方が多いですが、同じ業界でも会社によって差は5-10倍あります。転職エージェントに「残業が月30時間以内の企業を」とリクエストするだけで、選択肢は絞られます。