年末調整とは何か
年末調整は、会社員の1年間の所得税を正しく精算する手続きです。毎月の給与から引かれる所得税は「概算」なので、生命保険料・住宅ローン・扶養家族の控除を反映して最終税額を確定させる作業が年末調整。多くの人は数千〜数万円の還付を受けます。
年末調整で戻ってくる典型的なケース
① 生命保険料・地震保険料を支払っている ② 扶養家族がいる ③ 配偶者の収入が103万円/150万円/201万円のラインに該当 ④ 住宅ローン2年目以降 ⑤ iDeCo拠出金。どれか1つでも当てはまれば数千〜数万円の還付可能性あり。
監修者ワンポイント / 佐野真由美
新卒1年目の人が「書類3枚が面倒」と避けがちですが、年末調整を適切にやるかどうかで数万円〜数十万円の還付額が変わります。年末の30分が年収換算で数万円の価値を生む、コスパ最高の作業です。
提出する3枚の書類
年末調整で提出する書類は以下の3枚(または4枚)。会社から11月〜12月上旬に配布されます。
| 書類名 | 記載内容 | 添付書類 |
|---|---|---|
| ①給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 | 扶養家族・配偶者・障害者情報 | なし |
| ②給与所得者の保険料控除申告書 | 生命保険・地震保険・社会保険・小規模企業共済 | 保険会社の控除証明書 |
| ③給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書 | 本人の所得・配偶者の所得 | なし(配偶者の源泉徴収票があれば推奨) |
| ④給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書 | 住宅ローン残高・借入時の情報(住宅購入2年目以降) | 残高証明書 |
年末調整書類の一覧
①扶養控除等申告書の書き方
毎年最初に書く基本書類。翌年分を年末に提出する形になります。
- ✓本人の氏名・住所・マイナンバー・生年月日
- ✓配偶者の氏名・マイナンバー・合計所得金額の見積(配偶者控除対象者がいる場合)
- ✓控除対象扶養親族(16歳以上の扶養家族)
- ✓障害者に該当する家族(障害者控除の対象)
- ✓寡婦・ひとり親・勤労学生控除(該当者のみ)
- ✓同居の老親等(控除額が上乗せ)
- ✓他の所得者が控除を受ける扶養親族(配偶者が別の扶養で使う場合)
監修者ワンポイント / 佐野真由美
扶養家族の「所得」は「給与年収ベースでは103万円以下」が基準(所得48万以下 = 給与103万以下)。パート収入の配偶者、学生のアルバイトなど、金額の確認を。
②保険料控除申告書の書き方
控除額が大きく、還付額が跳ねるのがこの書類。保険会社から10月中旬〜11月に送られる「控除証明書」を元に記入。
生命保険料控除(最大12万円)
一般生命保険・介護医療保険・個人年金保険の3区分。それぞれ最大4万円控除。2012年以降契約は「新契約」、それ以前は「旧契約」で計算式が異なる。
地震保険料控除(最大5万円)
地震保険料の全額(最大5万円)が控除対象。火災保険料は対象外。
社会保険料控除
本人の給与から天引きされる健保・年金は会社側で自動反映済み。国民年金・国民健康保険を別途払った場合のみ記入(転職時のブランク期間等)。
◎小規模企業共済等掛金控除(iDeCo含む)
iDeCoの年間拠出額を記入。拠出額全額が所得控除 = 所得税・住民税が数万円〜十数万円減る。
③基礎控除・配偶者控除申告書の書き方
2020年から統合された新しい書類。本人と配偶者の所得を見積もって記入。
- ✓本人の合計所得(目安: 年収2,400万以下なら基礎控除48万円)
- ✓配偶者の合計所得(配偶者控除38万・配偶者特別控除は配偶者年収により変動)
- ✓給与所得以外の所得(副業・配当・家賃収入)
- ✓所得金額調整控除(年収850万超で子や特別障害者の扶養がある場合)
④住宅ローン控除申告書(2年目以降)
住宅ローンを組んで2年目以降は会社の年末調整で対応可能(1年目は確定申告必須)。
- ✓住宅ローン残高(12月末時点の残高証明書から転記)
- ✓控除される金額(残高 × 0.7%、最大年40万円程度)
- ✓住宅の取得年月・住宅の種類(認定住宅等で控除額変動)
- ✓共有持分(夫婦で共有の場合は持分割合で按分)
中途入社者の注意点
年の途中で入社した場合、前職の源泉徴収票が必須です。
前職の源泉徴収票がない場合
前職に「源泉徴収票をください」と連絡(退職から1ヶ月以内に発行義務あり)。それでも入手できない場合は、年末調整せず自分で確定申告。会社の期限までに揃えるのが最優先。間に合わない場合は、年明けの確定申告で精算可能。
副業者の注意点
本業以外の所得がある場合、年末調整だけでは不十分なケースあり。
- ✓副業所得が20万円超: 確定申告必須(年末調整後に別途)
- ✓副業所得20万円以下: 所得税は不要、住民税は申告必要
- ✓ふるさと納税のワンストップ特例: 年末調整では精算不可、要確定申告 or ワンストップ申請
- ✓医療費控除・雑損控除: 年末調整では対応不可、要確定申告
- ✓初年度の住宅ローン控除: 要確定申告
よくある間違い
税務署に訂正されやすいパターン。
扶養家族の所得を過小に見積もる
配偶者のパート収入が年の後半に増えて扶養から外れるケース多数。見込み年収は年末時点の予測で正確に。
保険料控除証明書を紛失
保険会社に再発行依頼(無料、即日〜1週間)。紛失で控除を逃すのは勿体ない。
iDeCo拠出額の記入忘れ
iDeCo拠出は大きな所得控除。国民年金基金連合会からの「小規模企業共済等掛金払込証明書」を添付して申告。
住宅ローン2年目の書類を紛失
税務署から発行された書類を再発行依頼。銀行の残高証明書も要再請求。
転職前の源泉徴収票を出し忘れ
年末調整なしで放置すると確定申告必須に。前職にすぐ連絡、出てこなければ確定申告準備を。
提出期限と年末調整の流れ
多くの会社のスケジュール。
- 1
10月下旬〜11月上旬: 保険会社から控除証明書到着
年末調整の準備物として保管。紛失すると再発行に時間がかかる。
- 2
11月中旬〜下旬: 会社から年末調整書類配布
3枚 + 住宅ローン該当者は4枚。期限は通常12月初旬。
- 3
11月下旬〜12月上旬: 書類提出期限
期限を過ぎると手作業処理で経理担当に迷惑。必ず期限厳守。
- 4
12月または1月の給与: 年末調整結果の反映
還付(もしくは追加徴収)が給与に上乗せ・控除される形で精算。
- 5
1月末: 源泉徴収票の交付
住宅ローン初年度・副業・医療費控除等は、この源泉徴収票をもとに2月中旬〜3月中旬で確定申告。
