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— Essay by Mayumi Sano

1万人指導して見えた「仕事ができる人」の共通点5選
マナー研修15年の現場知

佐野真由美

佐野 真由美

マナー講師・本サイト監修者

「できる人」を判別する目を持ったきっかけ

私はマナー講師として独立する前、大手商社の秘書室で10年間、複数の役員秘書を務めました。秘書という仕事の一面は、役員の代わりに無数の社員と接することです。その過程で、私は2,000人以上の社員と関わり、その中で「できる人」と「そうでない人」を観察し続けてきました。

独立後の15年、マナー研修・1on1コーチングで延べ1万人以上を指導する中で、その観察はさらに深まりました。秘書時代の観察と研修現場での指導経験を合わせると、業界・年代・職種を超えて「できる人に共通する5つの特徴」が浮かび上がってきます。

このエッセイでは、その5つを私の現場経験ベースで言語化しました。教科書的な「ビジネススキル」ではなく、「人としての姿勢」のレベルで何が違うのか、ご紹介します。

TRAIT 01

相手の時間を尊重する

「仕事ができる人」に最も共通するのは、相手の時間を尊重する姿勢です。会議の冒頭で「お忙しい中、お時間いただきありがとうございます」と言うことではなく、メールの件名で要件が分かるようにする、結論を先に伝える、ダラダラした前置きをしない、といった行動レベルでの配慮です。

秘書時代に上司から学んだ表現で、今もマナー研修で必ず伝えているのが「相手の時間を1秒奪ったら、自分の責任で1秒以上の価値を返す」という言葉です。仕事ができる人はこの感覚が体に染み付いています。

TRAIT 02

質問の前に、自分の仮説を持つ

上司や先輩に質問する際、「どうしたらいいですか?」とだけ聞く人と「私は◯◯と考えていますが、◯◯の点で迷っています」と聞く人で、評価が180度違います。

後者の質問の仕方をする人は、考える主体性を持っており、答える側も話が早い。質問のクオリティでその人の思考力が一目で分かるため、私は研修で必ず「質問は仮説とセットで」と伝えています。

仕事ができる人は、新人時代から「Yes/No判断のための質問」を自然にできる人が多い。「教えて」ではなく「これでいいか確認したい」という問いの立て方です。

TRAIT 03

失敗を即座に認め、次に活かす

これは私が秘書時代に直接見てきた、上司が部下を評価する際の最重要ポイントの一つです。

ミスをした時、「言い訳から入る人」「沈黙して隠そうとする人」「即座に認めて次の対策を提示する人」の3パターンに分かれます。最後のパターンの人だけが、長期的に評価を伸ばしていきます。

秘書として観察してきて気づいたのは、ミスの量自体は人によって大差ないということです。差がつくのは「ミスの後の30分」の対応。隠さない、誤魔化さない、即座に対策を提示する。これが「できる人」の共通点でした。

面白いのは、これは「能力」ではなく「習慣」だということ。20代のうちに身につければ、その後ずっと武器になります。

TRAIT 04

自分の役割を超えて全体を見る

マナー研修で1万人以上を指導してきた中で、最も印象的だった「できる人」は、自分の役割の枠を超えて全体を見る人たちでした。

「これは私の担当ではないので」と線を引かず、「全体最適のために何ができるか」を常に考える。だからといって越権行為をするのではなく、「これは◯◯さんの担当だが、私の方で△△を準備しておけばスムーズですよね」と提案する。

秘書時代、私が仕えた役員が部下を選ぶ基準として「自分の仕事だけしかしない人」「自分の仕事+α する人」「全体を見て動く人」の3階層で評価していました。最上位の評価を受ける人は、必ず「全体を見て動く人」でした。

これは個人の性格や能力というより、「視座の高さ」の問題です。意識的に上の視座に立とうとする訓練で身につく特性。

TRAIT 05

感情と事実を切り分けられる

最後に挙げたいのは、感情と事実を切り分ける能力です。これが私が15年で見てきた「できる人」の最も普遍的な特徴です。

仕事の場では、嫌な出来事・理不尽な指示・不公平な評価が日常的に発生します。多くの人は「感情を持ち込まないで仕事する」を目指しますが、これは現実的ではありません。感情は持ち込むものです。

大事なのは「感情を持ちつつ、事実ベースで判断する」こと。「あの上司は嫌い(感情)、でもこの指示は業務上正しい(事実)、だからやる」「この評価は不公平に感じる(感情)、でもデータで見ると同期と比較して妥当(事実)、だから受け入れる」というように、感情を否定せず、事実で判断する。

秘書時代に上司から学んだのは「感情は『感じている』と認めるだけで、判断には使わない」という姿勢です。これができる人が、最終的に「できる人」と呼ばれる存在になっていく。

これは習慣ですが、若い頃ほど身につけにくい。意識的にトレーニングする価値のあるスキルです。

5つの共通点を貫く根底の姿勢

ここまで5つの特徴を見てきましたが、これらを貫く根底の姿勢は「他者と環境への観察と尊重」です。

相手の時間を尊重するのも、仮説を持って質問するのも、ミスを認めるのも、全体を見るのも、感情と事実を切り分けるのも、すべて「自分以外の存在(相手・組織・現実)」をきちんと観察し、その上で行動を選んでいる結果です。

逆に「できない人」に共通するのは、視野が自分の中だけで完結していることです。自分の感情、自分の都合、自分の評価しか見えていない。これは能力の問題ではなく、視野の問題。

視野を広げる訓練は、20代のうちは特に意識的に行う価値があります。日常の中で「相手は今、何を考えているか」「この組織は何に困っているか」「全体最適は何か」を問い続ける習慣を作るだけで、5年後の自分は驚くほど変わります。

最後に — できる人になるための実践

5つの特徴は、読んだだけで身につくものではありません。日々の実践の積み重ねでしか身につかない。

私が研修受講者に勧めているのは「1日1つ、今日意識する特徴を決める」方法です。月曜は「相手の時間を尊重する」、火曜は「質問は仮説とセット」、水曜は「ミスを認めて即対策」のように、意識する対象を1つに絞る。

これを3ヶ月続けると、5つの特徴が自分の中に習慣として定着します。3ヶ月後、あなたを見る周囲の目は確実に変わっているはずです。

「できる人」は生まれつきではなく、日々の習慣で作られる

— Action

自分の市場価値を客観視する

「できる人」の特徴を意識して習慣化したら、次は市場での自分の評価を客観視するフェーズ。エージェント面談で『あなたの市場価値は◯◯万円』と言われると、自分の現在地が冷静に見えます。

リージョナルキャリア東海

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